ヤカの感想

読書とかの感想と、ちょっとの雑記

小公女 バーネット

バーネットの小公女を読みました。

あらすじは大体知ってたけど、読んだことなかったのです。子供向けの名作は後世に残るだけあり、洗練されて文章もていねい。大人でも充分、むしろ流行りの小説よりも安心して楽しめるということを改めて再認識しました。

よき。 読んだのはこれ版

 

後書からの引用によると作者は、生まれは裕福だけど家庭の都合で貧しくなり、生活のために小説を書き始めたんだそう。その経験が上流/下流社会の描写にリアリティを与えて、どちらの立場の人が読んでも共感できるものになってる。すごいなぁ。

 

主人公のリトル・プリンセス(和訳:小公女)セーラさんが、頑固でいじらしく誇り高くて最高な性格で、本当にこの子のキャラクターの魅力でグイグイ読ませてくる。完璧な子に見えるけど、子供なりの考えで一生懸命に逆境に耐えようとしてて、小学生の少女がこれ読んだら、みんなセーラになりたいとなるな。

大人でもなりたいもん。

立ち位置的に古典プリキュアと捉えても良いかもしれない。

 

 

セーラは辛いことを乗り越える時、教養と空想力で乗り越えようとしてて、そのやり方がまあ大変賢くていじらしいんですよね。もうダメ。

辛いことを歯を食いしばって耐えるでなく、その中で喜びを見つけ出そうとしてんの。この思考法、ビジネス書に載っててもおかしくないな。小公女メソッド。

 

みんな心にセーラをお迎えして、辛い時に相談相手になってもらうと楽だと思う。

むしろ大人の心にセーラさんは必要だと思う。

 

アニメ版の方が有名だけど、どうやら原作の方がアニメ版よりやや自我がしっかりしてるタイプのようなので、ぜひアニメだけでなく、原作のセーラさんを堪能してほしい。凄いえらい。

 

 

こんな感じですっかりファンになっちゃって、あまりに名作で読んだりあらすじも知ってる人多いだろうし、もう感想を全力で書きます。

ネタバレあります。

お嬢様言葉になります。

完全にセーラに話しかけてます。

 

なんかお金持ちで鼻につくなんて思ってしまってごめんなさい、セーラ…。あなたは本当の公女さまですわ。夢をみる、夢見がちというそれを一切きっと否定されてこなかったのね。

それは生まれ持った環境が作った芯の強さだわ。

我々庶民はね、セーラ、あなたもわかると思うけど、夢をみることがとても難しい時があるの。不幸な人は他人を馬鹿にしたり、頭が悪くて自分の考え以外を受け入れたがらないのよ。ミンチン先生みたいにね。

 

でもあなたは辛いこと、悲しいことをまっすぐ受け止めて、それでいて空想の力でそれを乗り越えようとしているのね。空想を現実逃避ではなく、現実を乗り切るために使っているのね。

わたし…それ、すごく素敵だと思うの。

あなたのやり方を真似したら、わたしもあなたみたいに強くなれるかしら。私、あなたに本当に勇気をもらったわ。あなたはプリンセスよ。間違いないわ。

 

あなたが屋根裏に行ってしまってから…正直にいうわ、私ね、とっても読むのが怖かったの!

だってその先の展開がうろ覚えでね、あなたが再び幸せになる保証がなかったから。あなたが不幸な目にあうのを読み続けることが、私とっても辛かった。ミンチン先生はあなたをご学友から引き離したわね。クラスメートに会わなくて済むのは、私もそこは少しほっとしたわ。

私だったら絶対やだもん。

 

ミンチン先生も悪い人なのだけれど、大人すぎるのね。ルールと損得で動いている人だから、きっとあなたは嫌いだったのね。私ね、あなたほど頭のいい方なら、なぜもっもミンチン先生と上手くやらなかったのかしら、とも思ったの。でもあなたはたとえ自分の立場が悪くなっても、他人のために自分を曲げることはしない人だったのね。

あなたとベッキーが屋根裏にいた時、私もそこにいてね、一緒に耐えて、悲しんで、笑ってたわ。

あなたが魔法にかかった時、屋根の上の大人達はずいぶんのぞき窓からニコニコしたんでしょうね!私、そのシーンがいちばん好きよ。あえて描写されてないというのが憎いわね。流石の演出力だわ。ラム・ダスなんて絶対踊ってたわよ。

 

あとね、最後、ベッキーにお迎えが来るシーン、あれも大好きよ。ベッキーは本当に心が綺麗な子ね。メイドの立場だけど、ベッキーは2番目のプリンセスだと思うの。なんかこの作品、みんな与えることはするけど、要求はしないのよ。ミンチン先生一派以外。そういうところ時代背景なのかしら、心地よく読めるわね。

 

 

 

あーってな感じでほんとにセーラはいい子!なんか人造いい子じゃない健康的ないい子なのがほんとよかった!ずっと小女子とイメージが混ざっててたけれど、認識を改めます。

 

 

 

 

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どうでもいい話:

 

これを読んだ同じ日に、関東大震災朝鮮人虐殺の話を読み、人間の崇高さと愚かさを一度に摂取してメンタルがぐちゃぐちゃになった。

翌日外に干しておいた靴が雨で全部濡れて、会社に行くカードキー忘れて、靴ズレ4つくらいしてて、新しい配属先の人たちが苦手でなんかもう全部投げ出したくなった。セーラなら逃げなかった。でも…私は逃げたんだ。会社ズル休みしてスプラトゥーン3やってた。公女への道は遠い。