ヤカの感想

読書とかの感想と、ちょっとの雑記

砂糖の世界史

川北稔先生の、砂糖の世界史を読みました。

これはAmazon Kindle Unlimitedという、月1000円くらい払うと色々読めるやつで発見した。諸々歴史は動くけど、それを人や時代の英雄に焦点を当てないで、砂糖から読み取る。そうするとその時代の人の動機が見えてくる。砂糖だけでなく、コーヒーや茶、絹織物などについても少し語られる。モノから語る世界史なのだ。

モノの目線で大局的に描いているからこそ、人間たちの欲を原動力にした世界史の動きと、結果の悲惨さも生々しい。イギリスやヨーロッパの商人と王族階級、人類史に悪い爪痕を残しすぎだ。そしてこの仕組みがなかなか後を引きずり、治ってないのがなんとも後味が悪い。

日本が植民地にならなかったの、地理と気候的にに運が良かっただけなんね…。

経済的に弱いところにプランテーションを作り、発展させずに安くむしり取る構図は現代でも変わっていないし、自分たちもその恩恵に預かっている。

甘いものはとても大好きだけど、こんなに世の中に溢れているのはおかしい。世界はそのためにいびつにひん曲げられてしまったのだ。

何気なく溢れてる世の中のモノたちについて、改めて一考させられる。溢れすぎていて、どこからきたのか、なぜこんなにすぐ手に入るのか、…それで資源は枯渇しないのか?過去の歴史を振り返ると、どうやら人間は己の欲で何度も危機を迎えているのに、自制できないところがあるみたい。

植民地時代の商人たちを人道的でないと思うけど、後世でこの時代の人たちもそう思われるかも。

環境を守ろう、というよく聞く言葉の意味をしっかり理解できました。

という、甘さの裏に苦さを感じるお話でした。