ヤカの感想

読書とかの感想と、ちょっとの雑記

君たちはどう生きるか

つれに誘われて映画観てきました。

公開から時間も経っているので、話しても良いかな、で感想を書こうと思います。

 

結論としては、あんまり考察しない方がいいな!!!!!!って感じでした。

 

あと感想あんまないな!!

 

なんか前々から色々言われてたからかもしれない。広告なし、スタジオジブリ宮崎駿監督が描きたいものを作った作品で、エンタメ性は低い、とかなんとか。

 

大体全部その通りで、そういった意味では期待を裏切らなかった。伝えたいメッセージは散りばめられているけど、不安定で隠れていて、観客が拾い上げないと見つけられない。

 

話の筋は至極児童文学のお手本をなぞっている。大人を信じられない子どもが、違う世界に行って成長して帰ってくる、というものだ。

 

他の作品だと異世界に行くまでを短めにすることが多いが、こちらはとても丁寧で長く書き込んでおり、しかもほぼ情景と演出だけで引き込んでくる。音とビジュアルが素晴らしすぎる。人力車の沈み込む動き、山と雲の情景、音の無い静かな屋敷。話も進まないし主人公喋らないのに、なぜ彼が自傷までするに至ったかが察せるほどのすごい表現力。引き込まれる。本当に戦時中のお屋敷で、取り残されているような錯覚を覚える。

 

下の世界に行ってから…ここからは逆に、荒唐無稽な展開が続く。その世界は整理されてない民話のパッチワークのようで(理屈をつけるならば)大叔父の読んだ本たちが、積み木の形になってバラバラに在るような、不安定なものだ。見る側は理屈を探すけど、離され、置いてけぼりにされる。前半あんなに丁寧に心理描写をしたまひとが、よく喋り、なぜか世界のルールをわかった感じになってる。ここにつまらなさを感じる。

ひみとの出会いも、何故母と分かったか、分かってからの気持ちもわからない。夢の中だから、で説明をつけるにはちょっと悲しい。

つまり後半は理屈を求めちゃダメなのだ!いやほんと、理屈を求めると途端につまんなくなるしツッコミどころも増える。バンドデシネみたいに空想の世界を揺蕩うのを楽しもう。映像はほんとよい。絶妙な色使いが素晴らしい。デジタルで彩度上げたり飛ばす表現を使わない、柔らかな表現。職人技だ。

 

 

前半の写実的で丁寧な表現と、後半の空想的で派手で整理されてない展開の対比。なぜこの構成にしたのか、エンドロールで宮崎吾朗とかいたし作り手側の実験なのか。

正直前半は素晴らしく、後半はストーリー的にはだるかった。映像はずっとめっちゃ良かった。

 

 

つれは宮崎駿の人生それぞれの象徴で、宮崎吾郎はまひとの投影、大叔父はジブリ宮崎駿自身だ、と作品を語っていた。大先輩である高畑勲を超えたいジレンマがそこに含まれている、ともいった。それを聞いて確かにインコたちとか、群衆の象徴っぽいな、と思った。

 

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ここから殴り書き

 

インコの王様の、積み木をしっちゃかめっちゃかに積んで、ぶった斬る、あのシーンがすごい良かった。大叔父はまひとしか見ず、まひとは自分のことでいっぱいいっぱいだ。あの世界のことを一番維持したい、一番守りたいはずのインコの王様は道化に描かれる。そして、全部積み上げて、壊しちゃう。誰にも愛されていないな。悲しくて泣いた。

でも、そのやるせなさがなんか作品の前半と後半を結びつける要素だと思った。

 

 

作中にでてくる「君たちはどう生きるか」の本、そしてタイトルについては、解釈が色々ありそうだ。私は漫画版を一度読んだので内容は知ってるんだけど、そこからこの作品への繋がりはわかんなかった。

でも、あえて考えるならば、孤独の中にある内包的な夢の世界を誰かに伝えるとき、そこに物語が生まれ、人と人との繋がりが、世の中を変えてくんだよ…みたいな感じだろうか。うーん、こじつけすぎる。わからん。

ここは答えを出さない方がいい気がする。

 

 

結論、絵と雰囲気はめちゃくちゃ好き

お話は考えないで見ると好き。